2021.08.24
【ANA】環境省「令和3年度二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」に採択-持続可能な航空燃料(SAF)製造を中心としたCO2資源化による地域の活性化-
東芝エネルギーシステムズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:小西崇夫)、東洋エンジニアリング株式会社(本社:千葉県習志野市、取締役社長:永松治夫)、株式会社東芝(本社:東京都港区、代表執行役社長 CEO:綱川智)、出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤俊一)、日本CCS調査株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中島俊朗)、全日本空輸株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:平子裕志)は、環境省地球環境局が公募した「令和3年度二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」において 、「人工光合成技術を用いた電解による地域のCO2資源化検討事業」を提案し、この度、本提案が委託事業として採択されました。6社は、今年9月から共同で実証事業を行います。
これまで6社は連携して、株式会社東芝研究開発センターが開発した二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)に転換するCO2電解技術※1を用い、COと水素から液体燃料を合成するFT※2合成技術と組み合わせて、「持続可能な航空燃料(SAF)※3」を製造する、P2C※4による炭素循環ビジネスモデルを検討してきました。
この取組みが環境省の委託事業に採択され、今後6社は地域のインフラや特徴を活かしてカーボンリサイクルを地域内で実現させ、脱炭素化の促進と地域振興を両立させる検討を行います。
具体的には、東芝エネルギーシステムズ株式会社が実用規模のCO2電解装置のプロトタイプを製作し、同社の浜川崎工場(神奈川県川崎市)で運転実証を実施します。これを基に、各社が持つ知見・技術や関連するプラント設備等を活かし、CO2の分離回収からSAF製造、消費までの全工程を、北海道苫小牧市を含む候補地で実証することを想定した基本計画を作成します。これから得られたデータ・知見を、地域における炭素循環社会モデルに反映させ、事業成立性を評価します。
6社は本実証事業を通し、炭素循環に基づくSAFサプライチェーンの商業化や、地域の活性化の促進に貢献して参ります。
期間および実証事業参加各社の役割
期間:2021年9月~2025年3月末(予定)
実証事業参加各社の主な役割:
実証事業の背景
パリ協定に対するNDC※5で示したCO2排出削減目標の達成に向け、日本ではCO2の分離貯留や資源化、再生可能エネルギーの主力電源化や水素利用の拡大、燃料の脱炭素化などの環境イノベーションが期待されています。また、航空業界ではICAO(国際民間航空機関)がCORSIA(国際航空のためのカーボンオフセット及び削減スキーム)においてCO2排出削減目標を定めており、効果的な削減手法の一つであるSAFを使用する運航に向け、その安定的製造・供給が強く求められています。
今回検討するP2Cプラントは、排出源から分離回収したCO2を、人工光合成技術を活用してCOに還元し、FT合成プロセスを用いてCOと再生可能エネルギー由来の水素を反応させ、既存の石油精製プロセスを利用して、ジェット燃料や軽油等の液体燃料を製造するプラントです。P2Cは、新たな化石資源の採掘を伴わず、再エネ電力や再エネ由来の水素を有効利用することから、CO2排出量を大幅に削減でき、「カーボンニュートラル」に大きく寄与すると期待されています。
- ※ 1:株式会社東芝 リリースhttp://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1903_02.htm
https://www.toshiba-energy.com/info/info2020_1202.htm - ※2:フィッシャー・トロプシュ(FT)法:COと水素から触媒反応を用いて液状の炭化水素を合成する一連の技術
- ※3:SAF:Sustainable Aviation Fuel(原材料の生産・収集から燃焼までの過程で、CO2の排出量が少ない持続可能な供給源から製造されるジェット燃料)
- ※4:P2C:CCU/カーボンリサイクル技術のひとつであるPower to Chemicals(P2C)は、再エネや再エネ水素等を用いてCO2を環境価値の高い有価物に再利用する技術であり、CO2の排出削減だけでなく、再エネの普及拡大にも大きく貢献する。
- ※5:Nationally Determined Contribution(国が決定する貢献):自国が決定する温室効果ガス削減目標と目標達成の為の緩和努力。日本は2020年3月に国連気候変動枠組条約事務局に提出した。
地域での炭素循環社会モデル(イメージ)
実証事業のスケジュール(概要)
以上
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